10月24日夜に開催された、アジャイル札幌×TEF道プレゼンツ「アジャイルとテスト」勉強会 ~ JaSST’13 Hokkaido 前夜祭 ~ に参加しました。
翌日開催されたJaSST’13 Hokkaidoの講演でお越し下さった、細谷泰夫さんをお迎えして、アジャイルと品質について色々なお話を聞かせていただきました。
平日だったのもあり、時間があっという間でした。
当日の記録から、自分の心に残っているお話を残しておきます。
「品質」のこと
- 「当たり前品質」と「魅力的品質」
・できて当たり前だができないと不満が出る
・予想を裏切って良い物ができるとうれしい ex) Apple - 期待値上げ過ぎ(オーバーコミットメント):できないのに「やります!」=> 絶対的な約束
・できなかったとき「品質が悪い」となる
・階層的な組織構造(伝言ゲーム)で起こりがち
「スクラム」のこと
- 「スクラムはルール」
・ルールを守る事が絶対 - 「ルール違反の例」
・プロダクトオーナーや組織がチームの見積もりを否定する
・スプリントの期間を延長する
・チームが情報を隠す - スクラムマスターはジャッチをする
- スコープの調整は自動的に決まる流れだと良い
・「こうします」というより「こうなります」というくらい - ルール違反の代償
・信頼関係の崩壊
・成果物の品質(矛盾をプロダクトに吸収させる)
「見積もり」のこと
(ここでの見積もりは”作業の見積もり”。マネジメント面と契約面ではちょっと話が違う)
- 見積もり精度を上げた方がいいかというと結構微妙
・見積もりをオーバーしないようにするためにリスクをいっぱい詰んでおくことになる - 見積もりの逆三角形
・見積もりの誤差はプロジェクトが進むにつれて減っていけば良い - スクラムのルール違反をすると見積もり誤差(バッファ)を大きく詰むようになる
・バッファを必要としない:スコープを変える
・見積もりの結果によって誰かが損をしたり得をしたりする構造だと、みんな損をしないように振る舞ってしまう
「フレームワーク・プロセス・型」
- フレームワーク:ルール
・スクラムそのもの - プロセス:2人以上の人が連携して何かをする・1人が複数の手順で何かをする
- 型:プロセスを実施するための基本動作
・基本動作ができていないとプロセスは実行できない - ルールを守ってどう戦うか(どのようなプロセス・型を使うか)
・これには正解がない、現場で考えて解をみつけていくもの ex) サッカーなどのスポーツ
細谷さんの会社の例
- 新人が半分以上 新人が修行を積んで飛び立っていくところ
・ただし「研修」ではなく、その状態で成果を出すのが当たり前
・新人(まっさら)だからやりやすい面もある - 反復を小さく、プロジェクトの期間は長く
・2,3日で一周するようなプロセス(早く気がつく)
・成長して挽回できる期間があるプロジェクトであればじゅうぶんにうまくいく
・「スピードは遅いけど品質は悪くない」ということを徹底する - スキル依存度を下げる
・設計などは難しいのでみんなでやる
・成長に伴い「君だったらどう思う?」が「まずは君の考えを教えてよ」に変わっていく - この状況下でのスクラムマスターの役割
・スキルよりはスクラムのルールを壊さずに環境を作れる人が大事
・スキルを教えるのではなくスクラムとはこういうものというのを答えられる人
・現場調整 矛盾が発生しないようにできる人
・新人のスキルはあるモードに入るとのびていく
・自己組織化していることを感じるような出来事やポイントを作る事が大事
アジャイルテストをプロセス・型で考えてみる
- スプリントの成果物には段階がある
・A) 出荷可能か判断する
・B) 出荷に必要なプロセスを経て製品を出荷する - いつ、どのような品質を達成させるか
・B)はプロセスの複雑度によって難易度が変わる
・出荷プロセスの複雑度は “プロジェクトのコンテキスト” によって違う
・フィードバックの範囲とリリース回数 - どうやって品質を高めるか
・品質の高い物を組み合わせる
・粒度を細かく
・テストの粒度を共有
・スタイルを自分たちで考える
・チームでの実行の繰り返し、練習
・各個人が体に型をなじませる
・基本動作の練習の習慣化 重要
全員のスキルが一定していない場合のプロジェクトについての一つのやり方を知る事ができたのがとても良かったです。
「型」「プロセス」「ルール」の話はとてもわかりやすく、自主練大事、ということを改めて感じました。
時間が短かったのがとても残念です(業務の都合で翌日のJaSST’13 Hokkaidoはいけなかったのでした)。
良い時間でした、ありがとうございました。