9月3日(水)にTeamGeek 読書会@札幌 -10 を開催しました。
ユーザーについて考える回の前半ということで、最初のアイスブレイクでは、印象に残っているお客様について話をしました。
どの人の話もとても興味深く、お客さんとガチで向き合ってるのを感じました。
私たちの仕事は、技術を使ってものをつくることがメインだけれど、結局のところお客様がいなければはじまらない。
「自分のためにソフトウェアを書いて、その結果に満足し、勝利宣言をする」そこでやめてはいけない。
それでお金を稼ぐためには、他人がそのソフトウェアを使って幸せにならなければいけない。
常に向き合っているのはユーザー。そのことを改めて考えました。
本書ではユーザーエンゲージメント(ユーザーがそのソフトウェアに愛着を持つ)のフェーズとして
- ソフトウェアを知る(一般認識)
- ソフトウェアを快適に使う(使いやすさ)
- ソフトウェアを作った人・組織と関係を持つ(関係管理)
の3つがあり、それらを解決できることではじめて「死なないソフトウェア」が生まれるとしています。
今回はそのうちの「一般認識」と「ユーザビリティ」について読みました。
マーケティングがやること
本書にもある通り、技術者とマーケティング(営業)は時として対立する。
マーケティングが感情操作をメインとするところが相容れないことが多いようです(技術者は論理的だから)。
確かに論理的思考は大切だが、多くの人間は論理と感情を同じだけ使って大事なことを決める(むしろ感情の方が多くないかな?)。
品質が良ければ必ずユーザーがついてくるかというとそういうわけではなく、感情をくすぐることも同じくらい大切。
本書の言葉の通り、「認知が現実」なのです。
技術者も、論理的な理由だけでなく感情をくすぐられる製品を選ぶことも多い。
例えば、Githubは技術的な面はもちろん「技術者が使っていてよい気持ちになる」仕組みが沢山ある。
ターゲットを”技術者”として、適切にマーケティングをした結果、今の人気に繋がっているのではないかと思いました。
興味深かったのは、マーケティング戦略もHRTをもとにしていること。
- 第一印象
(1分後にどう”感じる”か?) - 小さく約束して大きく届ける
(がっかりさせていないか、嬉しい驚きはあるか?) - 対応すべき人にきちんと対応する
(戦場を注意深く選ぶ)
上記のうち、特に3つ目の”戦場を注意深く選ぶ”について、掘り下げて考えたい。
戦場を注意深く選ぶこと
人間同士なので「正義が正しい」とは限らないことが沢山あります。
お客さんに対して、「全てにおいて公平で平等か」というとそうじゃないときもある。
それを全て正す必要があるか、というと「うまくやれよ」となるんだろうなあ。
対応すべき人に対応すれば、プロダクトの認識は良いものになる。
いつでもどこでも正しさを押し通そうとすると「めんどくさい人」になってしまい、いらないコストがかかってしまうこともある。
柔軟に状況を見極める力が必要なのだなあ。
なんかフェアじゃない気がして、あまりやりたくないなあと思っていたので、心構えを読む事ができてよかった。
使いやすさ
「エンジニアである君は、ソフトウェアのユーザビリティの評価者としては不適切」
これは、本当に、重要。
使う人がコンピューターに詳しくない人の場合、自分基準で使いやすさを決めてはいけないのです。
(これもHRTだよなあ)
使いやすさの基準として「ユーザーに集中する」事の重要性が書いてあり、具体的には7つの方法が書いてありました。
それを読みつつ、いろんなサービスやプロダクトを例に、使いやすさについて話し合いました。
- 顧客を選ぶ
– GitHubとWindowsじゃ使い勝手が違って当たり前 - ハードルを下げる
– サービスのトップ画面、何をすればいいのか分からないものも結構ある - 利用を計測する
– ダウンロード数○○万件突破!は意味がない - 速度重要
– 1回遅い体験をしたら2度と使わない事が多い… - いろいろ手を出さない
– 「調整さん」「ちょーすけ」のコンセプトの素晴らしさ - 怠けない
– Officeは使いやすくなったのだろうけど慣れない - 複雑さを隠す
– Apple製品はこの点やはりすごいなあ
この他に、ユーザーの気持ちを掴めなかった例として、eventATNDの終了について話したりもしました。
(このサービスの終了からは多くの学ぶべき事があると思います。)
6.3を残して今回は終了。
次回がいよいよ最終回です。
TeamGeek 読書会@札幌 -最終回
このブログを書いている時点で、翻訳者の角さんも参加登録されています!わー!わー!
終わった後は、ちょっとした懇親会も企画しています。
お時間ありそうな方、ぜひお越し下さい!