1月10日に開催された、LOCAL DEVELOPER DAY ’15 Winter (LDD15w)に参加しました。
このイベントは「全編パネルディスカッション形式」の「技術の話をしない技術者向けイベント」でした。
3つのパネルディスカッションが開催され、個性的な登壇者たちのトークを聞くことができました。
一次産業 x IT
- 齋藤 聖悟さん(ファシリテーター)/IIJのネットワーク兼セキュリティエンジニアから林業の世界へ転身
- 奈良 祥治 さん/農業(農園)の社内システム開発・IT関連業務全般担当
- 北村 大助さん/酪農家向けのアプリを制作している会社に勤務
一次産業に関わるようになるまでの道のりも大変興味深い3名が、現在、そして未来のITと一次産業との関わりについてディスカッションを行いました。
「今後ITを活用していこうと思った時に、一番の問題になるのは”電波(圏外のところが多い)”」というのは、考えたこともなかったです。
現場にいるからこそ気がつくことですね。
現状、一次産業でのIT活用は、二極化が進んでおり、活用するところはどんどん活用していっているが、使わないところはどんどん取り残されていく状況のようです。
「よくわからないから使わない」人を減らし、「便利なもの」として取り入れてもらうために、今後、技術者側からはどのようなアプローチをするのが良いのだろう?
「セールスの口車に乗せられてよくわからないものに大金を払わされた」事例を減らし、「コストを最大限抑えた便利なもの」を提供していく仕組みや流れが必要になっていくと思う。
エンジニアの幸せな働き方ってなんだろう?
- 菅井 祐太朗さん(ファシリテーター)/大手SIer等を経て自社サービスを手がける会社へ。現在はリモート勤務。
- 古賀 信哉さん/会社員経験後独立、現在は経営者。
- 今津 麻未さん/会社員を経験した後、現在はフリーランスとして働いている。
- 伊藤 いづみさん/結婚を機に退職後、現在はアルバイトという形で勤務している。
“エンジニアとしてのキャリア” だけではなく、”ライフプラン”としての働き方について考えなければいけない時期に来ているということもあり、
今回最も話を聞いてみたかったテーマ。
4名それぞれが生き生きと仕事をしているなあというのが印象的でした。
自分にあった働き方を選択した上で、仕事に集中して結果を出せている感じ。
その中でも、「どうして今の働き方を選択しているか」という問について、伊藤さんの生の声
「家族が増えた時のライフプランとして、女性はまずあまり選択肢がなかった 。」
「仕事の内容ではなく勤務形態で選ぶしかない。」
「今の仕事は、内容も勤務形態も自分にとてもマッチしている。」
というのが一番印象に残りました。
こういう(特に女性にとって)生々しい悩みについて、パネルの中で取り上げていただけたのがとても良かった。
(普段、技術者のイベントでこういう悩みを話したり考えたりできる場所ってないからなあ。)
今後、家族が増えたり、親の介護の事を考えたりした時、自分にとっても勤務形態は重要な課題になります。
昔は “どのようにキャリアを積んでいけるのか” という不安が大きかった(それを実現するために動いていた)けれど、今は “どんな働き方であれば社会との関わりを持ち続けることができるのか” という不安のほうが大きい。
私にとって今後「仕事をする」ということは「社会との関わりを絶たない」ということに大きく関連することになると思うのだ。
こうして悶々と考えていた中で、
「今は、自分だけでなく、従業員が幸せに働けるためにはどうすれば良いかを考えている。」
という古賀さんの経営者視点の話があったのはとても良かったです。
ゼロかフルかだけでなく、柔軟な勤務形態について、そしてそれが実現可能なのかについて今後数年は考えていかなければいけない。
全日本コミュニティ & 勉強会大決戦
- 法林 浩之さん(ファシリテーター)/全国様々なコミュニティの勉強会・イベントを開催・参加している。自身もユーザー会を運営。
- 小室 文さん/福岡県を中心に、AWSを中心とした技術イベントを開催している。
- 小岩 秀和さん/札幌を中心に勉強会・イベントの運営を行っている。RubyKaigiなど大規模なイベントの運営も経験している。
- tomio2480さん/旭川・北見・富良野と、札幌以外の北海道の地方都市での勉強会の開催・運営を行っている。とみお君の実行力はほんとうにすごい。
パネラーもファシリテーターも慣れている方が多く、現在のみなさんの活動や、地方ごとのコミュニティの特色、最近のコミュニティの様子、など、色々な話題を取り上げ、軽快にパネルが進んでいきました。
会場が笑いの渦に包まれることも多々あり。
そんな中、最も興味をもった話題はここです。
ユーザー会はいらない、勉強会だけ散発的にやりたい とい流れについて #ldd15w
— オム子( °⊿°) (@irasally) January 10, 2015
私が会場で思っていたことはTwitterで垂れ流していました。
技術者としてのつながりを持ちながら、技術に特化したイベントと、技術に寄らない話をじっくりしていくイベントをやりたい人が並行してやっていくの良いと思う。 #ldd15w
— オム子( °⊿°) (@irasally) January 10, 2015
勉強会派 vs ユーザー会派 ってなっていくとすごくもったいないよね。 両方技術者なのだから。相乗効果が生まれていけばいいと思う。 #ldd15w
— オム子( °⊿°) (@irasally) January 10, 2015
自分としては、「ユーザ会ドリブン」でも「技術ドリブン」でも、どちらでもよくて、やりたいことを実行してみたら賛同してくれるが参加してくれた、でいい気がしています。
片方だけが正義だと思っている人はいないだろう。
一番大事なのは主催・運営する人の気持ちと目的。
かと言って、主催者がやりたいことだけをやって、他者は関係ない、技術の共有ができれば技術”者”の交流はいらない、という感じになっていけば、コミュニティはなくなっていくのだろう。
(そもそも、やりたいことができればコミュニティは不要、というのは1つの考え方としてあるとは思うが。)
「わざわざプライベートの時間を割いて参加(運営)する」”勉強会”というものが、なぜ、この業界には存在しているのか。
それは、知識の吸収・向上・共有、人間関係の構築、技術を伝える・学んでもらいたい、自分のこれからの生き方の指針を考える….色々な目的があるからだと思っている。
目的が多様だから、色々な種類の勉強会が、形を様々に変えながら続いていて、技術者が会社を超えて集まる場がなくならないのだろう、と私は考えている。
たくさんの中から各自が取捨選択していく中で、他者を排除したりせず、「内輪」ができた後そこで終わらずに、フラットな目で色々な場所に参加してみたり、協力を求めたり、新しいことをはじめてみたりする。
他者と関わりたいという気持ちがなくならない限り、そのような様々な行動の結果、「コミュニティ」というものが各地方で育っていくのではないかなと考えている。
さいごに
今回は、スタッフとしてもイベントに関わらせていただいたのですが、「全編パネルディスカッション形式」の「技術の話をしない技術者向けイベント」という試みについて、参加者にどのくらい受け入れられるのか不安な部分もありました。
コミュニティに関するパネルの中で小室さんがおっしゃっていたように、現在は技術ありきの集まり、技術ドリブンのMeetUpの全盛期です。
技術の話をしないイベントで休日を使うのはもったいない(から参加しない)という人もいたと思います。
でも実際のところ、このイベントには自分が聞いてみたい話がたくさんあり、今後の人生を考える上で、たくさんのことを得ることが出来ました。
求められていることと、やりたいことのバランスを考えるときに、これからも素直に「自分が聞いてみたい」という気持ちは大切にしていきたいと思います。
(自分が聞いてみたい・知りたい気持ちドリブンのイベント運営です。)
最後になりますが、登壇者の皆様、素晴らしいお話をありがとうございました。
スタッフの皆様、それぞれ時間がない中でのイベント運営、本当にお疲れ様でした。
参加してくださった方々皆様にとって、1つでも気づきを得られた・無駄ではなかったと思える時間でありますように。