JavaFesta2012に参加しました

2012年10月5日(金)に開催されたJavaFesta2012に参加しました。
ここ数年、毎回JavaFestaには参加しています。
「Jeveの話題が少ない」と言われるこのセミナーですが(たしかにJavaの話題は少ない)、いろいろなジャンルのお話を一度に聞くことができるところがとても良いと思います。
無料でこれだけの講演を聞くことができるのは、札幌ではなかなかない贅沢な場所なのではないでしょうか。

セミナーは4コマ2トラックで行われます。
どのセッションを選択するか、結構悩んだのですが、今年は敢えて「なるべく普段聞かないようなテーマのセッションを聞こう」という自分の中のテーマを設けて参加しました。

Windows Azure を活用した Windows 8 アプリケーション開発

Azureのセミナーは普段見る機会が少ない(なぜなら、いつも裏側のセッションで更に興味のあるセミナーが開かれているから)ので、今年は敢えて “Javaの最新動向”を聞かずにAzureについての話を聞くことにしました。

昨年のJavaFestaも、先日の札幌Ruby会議にもいらしていたマイクロソフトの佐藤直生さんのお話です。
MS系のプロダクトを使用した業務には6年ほど遠ざかっていたのもあり、VisualStudioのロゴが大きく変わっているのにまず驚きました。

Windows Azureは最近、従来のクラウドサービス(PaaS)に加えて、「仮想マシン(IaaS)」「Webサイト(Webサイト特化型PaaS)という新しいサービスが提供されました。
IssSはAmazon EC2などと同じレイヤーのクラウド環境となり、WindowsServerだけでなく、LinuxOSも選択できるということでした。
個人的に「Webサイト」は面白いなあと感じました。当日デモもあったのですが、ウィザード形式でポチポチっとやると、簡単にWordpressなどのサイト公開ができます。

後半はWindows8について。
Window8 PCでセッションが行われていたのですが、さくさくと使いやすそうでした。
セッションの中でもあったように「新しいUIの概念を導入」しているのがわかりました。
自分が一番印象に残ったのは「縦スクロールが殆ど無くて、横スクロールが多いなあ」という点でした。各種タブレットでも統一されたUIを使用するのでそうなるのだと思います。実際、スクリーン上でPC画面から横スクロール多用のアプリを幾つか表示していたのですが特段使いにくそうではなかったのですよね。
Windows8はどんなOSになるんだろう、というのはちょっと楽しみです。

終わってから早速Windows Azureを90日無料試用するため、アカウントを取得しました!
試用できるようになるまでには、クレジットカード番号を入力しなければいけないのがちょっと手間ですが、わりとすんなりと進めました。
で、「Webサイト」から”MediaWiki”を作成しようとしたのですが… DataBaseをうまく作ることができずで躓いてしまっています X(
90日無料版だと限界があるのかしら…

ビジネスの変革を迫るHTML5の本質

有限会社futomiの羽田野太巳さんによる、HTML5がもたらす今後の市場の変化、混乱について。

HTML5という言葉は「アプリ基盤となるWebテクノロジー全般」を指し示しているため、バズワードになりやすい。
“HTML5によってWebが進化してなにかすごいことができるようになる” は大きな誤解である。HTML5は進化ではない。

最初に上記のようにHTML5の言葉を定義したあとに

  • 既存技術をHTML5に置き換えることで、企業独自技術から標準技術となる
  • なぜならW3Cの仕様はOpenだから
  • 標準化されることにより、土台のシフトが発生する => 市場の変化
  • HTML5で “Write Once, Run Anywhere” が実現できるか
    => スマートフォン市場などで発生しているネイティブアプリ開発問題はHTML5で全てクリアされるか、というと全ては無理だろう
  • OSを考える人達がアプリ基盤をWebで考えるようになってきている => Fireox, TIZEN
  • W3Cのコンソーシアム標準により基盤が標準化されてきているがまだまだ混乱期
    => 技術が日々進化している, 混乱は永久に続く, 安定の時代は来ない

と、今後のWebを中心とする市場の変化についてお話をされていました。

Apple製品のアプリ制作について「Apple税が30%もかかり、まるで小作人である」、 STAR WARSにたとえて「Apple帝国、我々は反乱軍」というなど(スライドにダースベイダー!)、敢えてAppleに対して刺激的な言葉を遣うことがプレゼンのスパイスになっていました。
(羽田野さんがプレゼンで使用していたマシンはMacBook Air)

アジャイル開発の勘所 〜Scrum、XP、ツール、そして組織〜

アジャイルコーチの@ryuzeeさんこと吉羽龍太郎さんによる、アジャイル開発についてのお話。
今まで色々な本や講演で聞いたことがきゅっとわかりやすくまとまっていると感じました。
自分の頭の中が整理されたのと同時に、新しい発見がありました。

  • ビジネスモデルの賞味期限が短縮 → 迅速な意思決定が必要・素早く具現化しなければいけない
  • 変化への対応としてのアジャイル開発
  • アジャイル開発とはアジャイルプロセスの導入ではない
    仕事の方法を自分たちで進化させなければいけない
  • 「良くしたい」と思っている人の力を最大限出す
  • 態度(現場を良くしたいという精神)と技術、どちらかだけではどうしようもない、技術重要
    Scrumも技術面はXPと組み合わせる
  • 19のXPプラクティスとScrumの組み合わせ
    →はじめてAgileを導入する場合はテストを書くことが多い、自動テスト必須
  • 組織の問題:「規則で決まっているんです」には「なんで?」を繰り返す
  • 「稼働率」の幻想。目的に向かって集中すべき、人間の作業のマルチタスク化はいいことない
  • 改善を常に、悪いものは直す
  • 多様性は強さ
  • 腹をくくる

何かを導入するときの理由として「○○がやっているから」ではなく(ただしバージョン管理などはしつけのレベルなので別)、 チームで考えて決めるというアプローチはとても良いと思いました。
「チームで何かを決定して進んでいく」際に一番導入しやすいんじゃないか、と感じています。

欠陥エンジニアリングの黎明 −移転可能なバグの保存方法と欠陥工学の必要性について

日本IBMの細川宣啓さんのお話。
まず、何よりセッションがとても良かった。話し方や聴衆を惹きつける力が素晴らしい。ぐんぐんと聞いている方が興味を持ってしまい、時間を忘れるようなプレゼンだった。
この「話をする技術、魅せるプレゼン」の力に圧倒されました。

話の内容の中心は「バグの情報を共有して標本・保存していこう」というもの。
「欠陥学」というのは、はじめて聞いたのですが、

  • 今、眼の前にある欠陥を除去したら終わり?
  • プロジェクトが変わるたびに同じようなバグを発生させていない?
  • そもそも「バグ」ってなに?どの状態って定義されている?

これらの問いかけにはハッとしました。

欠陥学は医療の現場(病理学)と同じように欠陥を移転可能な形で保存しようというもの。
「発見」「抽象化・汎用化」「固定化」「分類」「保存」というプロセスを経て欠陥標本を作る、という取り組みについて掘り下げていきました。

医療の現場と開発の現場の比較が、思ったよりも当てはまっている部分が多くて驚き。
「ただし、病原菌は自然発生することがあるけれど、バグは絶対に自然発生しない、必ず人が介在している。」という違いにも納得。

「他の学問からいろいろ取り入れられるんじゃないかな?」という言葉が印象的でした。
幅広い知識を持っていると見える領域も異なってくるんだな。

最後に

昨年の自分のブログ

ただ、「Java」Festaに参加している者としては、Javaの話が少なかったのはとても残念でした。
Javaのレガシープロジェクトを改善した話とか、最近のFWの話とか、JRubyの話とか、Groovyの話だとか、もっとJava界隈の技術的な話があったら面白かったのになと感じました。

と書いてありました。
今年は(わかっていたので)Javaから離れたテーマを設けて参加しましたが、やっぱり上記の気持ちは残りました。
Groovyの話や、最近であればJUnitの話、Javaプログラマが直面しているであろうSIerを取り巻く今後・・・などについては「Java」Festaで扱って欲しかったなあと思います。

とはいえ、これだけの豪華講演者のセミナーが無料で開催されているということはすごいことだと思います。
来年も楽しみにしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください